こちらの本を読みました。
ミヒャエル・エンデ(著)、大島 かおり(翻訳)
以前から気になっていた本なので読んでみました。(オーディオブックで読了)
【Audible/オーディブル】 聴く本児童文学といわれる本書ですが、【時間】の重みを知っている大人にこそ、必要な物語なのかもと感じます。
時間を盗む灰色の男たちに、翻弄される人々。そして、その時間を取り戻そうと奔走する小さなモモが、けなげで勇敢。
(※ 各引用は聴き書きのため、紙本の記載と少し異なるかもしれません、ご了承くださいませ)
時間が足りないと思ったら。時間が盗まれているのかも? 【効率化と心の豊かさ】
仕事でもプライベートでも、時短や効率化が、あたりまえになった現代。
本書を読んで(聴いて)、特に感じたのは下記のことです。
■ 「時間」というものに飲み込まれずに、うまく扱っていくには、バランスをとる感覚がとても大切。
自分が望む時間の使い方とは。
なぜなら、時間の使い方も、周囲に流されすぎれば、自分の人生の指針や価値観をも見失ったりするからです。
何かに疲れきってしまった、どこかがおかしい、と感じたときこそ。「時間」に目を向ける必要があるのかも。
・ 時間を節約することで、何を得て、何を失っているのか。
・ その時間の使い方に、納得できているのか。
何かにとりつかれたように、時間を節約しようとするとき。下記のことを振り返ってみたり。
・ 何を目的としていているのか。
・ 自分が望んでいることなのか。
・ 単にメディアや周囲に影響されているだけなのか。
等々。
自問自答しつつ、あれこれ天秤にかけてみて、今は、その時間の使い方に納得しているなら問題なし。
やはり違和感が消えないという場合は、時間の使い方、配分、優先順位などを見直す必要があるのかも。
時間の節約・倹約は、どこまで必要か。
時間は有限で貴重なので、効率化は確かに大事です。
ただ、何に対して、どこで線を引くかというのは、各々で向き合わなくてはいけないこと。
個人的に印象深かった場面を例にあげてみます。
◇ あるとき突然やってきた、時間貯蓄銀行の灰色の男たちに、「時間のムダ遣い」を指摘された床屋のフージー氏が、答えに窮する場面。
・ 日々の睡眠時間
・ 仕事をする時間
・ 3度の食事のための時間
・ 親の世話、介護をしている時間
・ 飼っているセキセイインコを世話する時間
・ 家事のための時間
・ 映画に行く時間
・ 合唱団の練習に行く時間
・ いきつけの飲み屋に行く時間
・ 友達と会う時間
・ 本を読む時間
・ 足の不自由な女性を見舞う時間
・ 毎日、窓辺に座ってまどろむ時間
灰色の男たちが床屋の主人に、「無駄だ」「浪費だ」「役に立たない」と詰め寄る、こうした時間。
もし、これらをムダとするなら、人間の存在、生まれてきたこと自体も、すべてがムダということに。。
(物語とはいえ、聴いていてゾッとするというか、ひたひたとした怖さを感じる場面でした。
時間の節約は、一歩まちがえれば、人間関係もイライラ、ギスギス。生きる気力さえなくしていくような息苦しさも・・)
俺の人生はこうして過ぎていくのか。
ハサミとおしゃべりと石けんの泡の人生だ。
俺はいったい生きていて何になった?
生きていれば多かれ少なかれ、人生の退屈さや虚しさを感じる時期なんて、誰にでもあることだと思います。
本当は、自分の仕事も暮らしも、それなりに好きだったり、わるくないと思っているのに。
他人に指摘され煽られて、自らの存在まで虚しく感じてしまうとしたら、時間に飲み込まれているのかも。。
(ときには、ムダを認識しながらその時間を楽しめるのも、人間にしかできない豊かさのひとつなはず)
この本が出版された1970年代にも、ゆとりのなさや時間の使い方についての警鐘があったのだと思うと。
さらに効率化がすべてのような現代を、作者が生きていたらどう見るのか。
ふと、そんなことを考えたりします。
***
とても素敵な物語でした。
時間の使い方や人生の豊かさについて、あらためて考えるよい機会に。
(誰かにとっては、ムダで役に立たない時間だとしても。私には、本を読んだり聴いたりするのは、心を豊かにしてくれるとても大切で必要な時間だと再確認)
いずれにしても、時間の扱い方は、個々の価値観によるもので、絶対的な正しさもないと思います。
(お金と時間というのは、どこか似たところがありますね。人間性も出るし、扱いも難しい・・)
家族・友人との時間、ひとりの時間、余暇、ゆとりのある生活が大切な人もいます。
仕事と趣味がほぼ同一で、忙しく動き仕事をしている時間が至福な人もいます。
時間とは、生きるということそのもの
人の命は、心を住み家(すみか)としている
「時間」は、見たり触ったりできなくても、じわじわと流れていく不思議なもの。
今は何に、多くの時間を使いたいと思い、どんな時間の使い方をしているときが、充実を感じるのか。
ときには真剣に考えたり、工夫したりしながら。
できるだけ後悔が少なく、これでよかったと思える時間を過ごせるよう、大切に扱っていきたいですね。
(追記: 主人公のモモを時間の国に導く、マイペースで勇敢な亀のカシオペイアが愛らしいです。人生の案内役にカメを飼いたい気分になります..)







