弱くても助け合うことはできる。ささやかな優しさ

こちらの本を読みました。

瀬尾 まいこ(著)、松井 暁波、吉野 貴大(ナレーター)


前回読んだ瀬尾さんの作品がよかったので、こちらも読んでみました。(オーディオブックで読了)

関連: 過去・未来。今より大事にすべきことはない【本】

【Audible/オーディブル】 聴く本

(* 聴き書きのため、引用として記載した文字が底本/原本と異なるかもしれません。ご了承ください)


PMS(月経前症候群)のイライラを抑えられず苦しむ藤沢さん、パニック障害におびえる山添君。同じ職場で働く二人。

それぞれに悩み、ときに絶望しながらも、反発や譲歩を繰り返しつつ互いに助け合い、周囲に助けられながら、人生を進んでいくふたりの物語。

なかなか現実には想像しにくいけれど。ふたりが働く栗田金属みたいな会社(超ホワイト企業?)があったら素敵だなとしみじみ妄想します。


弱くても助け合うことはできる。

でも、夕日は必ず朝日になることを、今の俺は知っている。

パニック障害を抱えつつ生きる山添君の言葉が、心に残りました。


優しさと希望。

先の言葉が印象に残ったのは、心にあたたかな風が吹くような、穏やかな希望の芽を感じたからです。

以前よりできることが少し増えたこと。月1で通う心療内科の先生と相談し、頼りにしている薬の量を少しだけ減らすのを決めたこと。

そこにたどり着くまでの過程は、どれほど大変で長かっただろうと思うのと同時に、先に見えるほんのり明るい光や回復の兆しを感じられます。


自分ごと、として考えてみる。

・ イライラの衝動を抑えられず、人を攻撃したり当たり散らしてしまう。

・ 行きたい場所に思うように行けない。(映画館、理髪店など)

・ 電車に乗るのがこわい。

・ スーパーのレジ待ちでも発作が起きそうになる。

・ いつ症状や発作が起こるのか、常に不安。

・ かつてはできたはずのことが、できなくなる。

・ 行動の範囲や人間関係なども制限される。

どうやっても自分でコントロールできず、薬に頼り続ける生活。

その苦しさや心細さを想像するだけでも、胃がギュっと縮むのを感じました。


***

何か問題が起こったとしても、全部がダメなわけでもなく、自分でできることもあるし、誰かと助け合うこともできる。

必要なのは、ささやかな親切。

そんなことをあらためて感じた1冊でした。


PMSやパニック障害に限らず。他にもよく知られていない心身の病気や症状はたくさんあると思います。

言葉としてなんとなく知っているだけの場合もあれば、自分でも気づいていなかったり、実際にさまざまな症状を体験している場合も。

ある日突然、思いもしない不調や障害におそわれることは、誰にでも起こる可能性があることだから。

ときに遭遇する周囲の人の理解できない言動も、自分ですらうまく説明できない自らの言動も。

むやみに責めたりせず、落ち着きと寛容さを持ちつつ、ゆるやかに助け合っていける世の中であるといいなと思います。

(* 著者の瀬尾さん自身が、数年前にパニック障害と診断されたという記事を以前読みました。ご自身の経験から書かれた小説なのだと思うと、より著者のやさしさが感じられます)


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