こちらの本を読みました。
村田 沙耶香(著)、大久保 佳代子(ナレーター)
気になりつつ読めていなかった小説をようやく。(オーディオブックで読了)
【Audible/オーディブル】 聴く本(* 聴き書きのため、引用として記載した文字が底本/原本と異なるかもしれません。ご了承ください)
普通とは何かを問いかける。
肉体労働は体を壊してしまうと、使えなくなってしまう。いくらまじめでもがんばっていても、体が年をとったら、私もこのコンビニでは使えない部品になるのかもしれない。
私の遺伝子はうっかりどこかに残さないように気をつけて寿命まで運んで、ちゃんと死ぬときに処分しよう。
これらの言葉が印象に残りました。主人公(コンビニで働く古倉恵子)の言葉です。
物語全体を通して、自身を「普通」だと思っている人々が、意識的に(あるいは無意識的に)主人公を切りつけるように放つ言葉の数々が、リアルに怖かったです。
すべての人に喜ばれ納得される人生?
先の言葉が心に残った理由は。
漠然と感じている常識への違和感や不安、うまく言語化できない感情が文字になって表れてきたように感じたからです。
同時に、つい安易に使ってしまう「普通」という言葉には、強烈なエネルギーが含まれていると、あらためて認識しました。
よくもわるくも個より和を重んじる傾向にあり、特に同調圧力が強いといわれる日本。
私も日常のふとしたときに、説明できない息苦しさを感じたりします。
それは世界中どこにいても、どれだけ年を重ねても、大なり小なりそういう側面はありそう。
とはいえ、今いる国や場所で、できるだけ暗黙のルールを乱さずに生活したり、周囲に合わせたりしていくほうが、面倒ごとを避けられるのも事実。
なので、多くの人は周りを見渡しつつ、その場での「普通」というものを探ろうとしたり、微調整したりしながら生きているのかもしれません。
自分なりの折り合いの付け方を。
住む国や地域、法律、家庭環境、職業、個々の性質など、あらゆる要素によって、「普通」の定義は異なると思います。
すべての人に喜ばれ、すべての人に納得される人生など、どこにもない。
心のバランスを失いそうなときには、そんなことを思い出してみるのも大切だと思いました。
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普通、正常、異常、差別、偏見、排除、、 心をざわつかせる言葉の数々が頭に浮かびました。
怖さや不快さもあり、やや重い読後感だったけれど。
息苦しさを感じつつも、自分なりにそんな言葉にひたひたと向き合う機会となりました。
普通への強迫観念に押しつぶされないように、人にも向けないように。
健気に気持ちをやりくりしながら、人生を送ろうとする誰もが、心穏やかに過ごせる場所を見つけられる世の中でありますように。





